全仏山 青龍寺

全仏山 青龍寺

高野山 青森別院

東北三十六不動尊霊場第十八番礼所

大日如来 昭和大仏

昭和大仏造立大意

我が国に仏教が伝わって以来千五百年、世々その恩徳を蒙ってきたことは歴史の証明するところです。

就中、聖徳太子さまは十七条憲法を制定し、以て人類生活の基本、世界平和の道を示されました。然るに明治維新後の滔々たる欧米文化の流入は、これらの事実を或いは隠蔽し或いは無視し、遂に今日の如き戒め無き放縦の世を現出せしめるに至ったのです。

加えて、今次大戦後は言論の自由、信教の自由の美名の下に、多くの迷信邪教の跋扈跳梁を許容しつつあります。世相人心の廃虚の原因は茲に存ずると言っても過言ではありません。同時に正法興隆を怠り、葬式仏教と揶揄されても平然としている一部既成宗団の責任も大です。

釈尊は三世の因果を説き、五戒十善を定め、六種の菩薩行を説かれました。

末世の我達は、今改めてこの教法を仰信し、己を空しくして如来の絶対加持力に随順して成仏を期さねばなりません。

このようにしてこそ真の平安が社会と人との上に成就するのです。昭和大仏がこの地に顕現されたのは、このような我等衆生の切なる叫びに応えたからに他なりません。

全国民の真心の浄財に心から感謝申し上げます。

ごあいさつ

本日の開眼落慶式典を厳修するに至るまで、命の縮む思いをしたこともありました。しかし、心のささえになりましたのは、如来の悲願に応える祈りの生活でした。捨てる神あれば拾う神ありとはうまく云ったものだとつくづく感じたものです。今ふり返ってみますとこの新しくて、貧しい檀家もいない、寺の歴史も財産もない一小寺の住職が、どうしてこの様な大事業を思い立ったのかおよく聞かれますが、私は唯一筋に御仏の教えを信じて、悩める人に少しでも役立つよう努力してきたことが、徐々に有縁の方々に知れ渡り、自然に協力者が集まったからだと信じています、協力される方が青森だけでなく全国におられることは、いかに多くの人々が真剣にこの身今生に於いて成仏し、救済される仏法を求めているのかということを物語っております。皆様の菩提心が結局感謝となり、報恩行となって大仏建立の趣旨を理解せられ、宗旨を超越して協力して下されたことは、滔々たる非仏教の唯我主義、唯物主義の流れにさらされている現今とは雖も、「篤く三宝を敬え、三宝とは仏法僧なり」の聖徳太子の御精神が脈々と我等日本人の心の中に生きている証拠であります。大仏を縁として、若い人々が仏教に関心を持ち、正しい信仰を深めていくことを願っております。昭和大仏は決っして大きさを誇るものでなく、無限の仏徳と大慈大悲を象徴するものであります。

経済的にある程度恵まれた今日、足るを知る忍耐と努力のみでなく、心の平和を求めるようにならなければ、本当の幸福は来ません。一般人の従来の仏教観は、現世の苦悩や幸福への道とは無関係な、現世からの逃避とか、死の為の宗教等の誤解に基いてきました。仏教は科学とも矛盾しないし、現実社会にも個人にも無限の利益を与える宝庫であります。昭和大仏は我々に真の幸福を示す象徴であります。どうぞこれからも御協力御助言をお寄せ下さるようお願い申し上げます。

昭和五十九年九月三十日
全仏山青龍寺
織田 隆弘